三井グループ24社で構成する「三井広報委員会」主催で日本全国の伝統工芸の持続・発展に真摯に取り組む個人・団体を表彰する第4回「三井ゴールデン匠賞」において、CREATIVE SHERPAの伝統×福祉による技術継承の取り組みが、奨励賞を受賞しました。
【応募タイトル】
後継者不足の職人技を障がいのある異才の若者が継承
【プロフィール】
伝統と福祉の連携(伝福連携)を実践する任意団体。反復作業に集中できる障がい特性を持つ若者たちの可能性に寄り添い、講座形式で職人技を指導。2019年千鳥うちわ作品を灯りのインスタレーションとして神社で展示後、ミラノやパリから受注。千鳥うちわを継承モデルとして、また活動の媒体として広げることを目指している。
【選出ポイント】
50以上の工程があるという千鳥うちわの制作。資材を和紙、竹骨、持ち手の3つに分け、各パーツを今後の継続制作が可能な施設で練習にとりかかった。障がいを持つ方のそれぞれの個性に合わせた工程を割り振ることで、その能力を存分に引き出し、結果としてクオリティの高いプロダクトとして仕上げた。「取り組み自体も素晴らしいが、たとえものづくりの背景を知らなくても、欲しくなる完成度」(審査員・千宗屋氏)
【取り組み】
江戸時代初期、京都から日本橋に渡り進化した「江戸仕立て都うちわ千鳥型(通称:千鳥うちわ)」は、独特の千鳥型フォルムと、約100本の極細の竹骨が精巧に並ぶ美しさを持つ。羽塚順子氏は竹骨の並びの緻密さを見たとき、「 自閉症スペクトラムの子の作業に向いている」と直感。うちわの技術が後継者不足で絶えようとしている現実と、並外れた集中力を持ちパターン化した職人的作業が得意ながらも、コミュニケーションが苦手で才能を活かせない障がい者就労支援施設に通う若者が多くいる現実。この「職人技と異才」をマッチングしたいと、伝承モデルを藤田昂平氏と企画。職人である加藤照邦氏からの指導協力、技術伝承講座、資材調査、調達交渉を進め、今後のモデルケースともなりえる伝福連携を実現。
【作品紹介】
江戸仕立て都うちわ千鳥型(千鳥うちわ)
千鳥うちわ一筋60年以上の職人から技を学び、楮からの和紙漉き、真竹の極細加工と竹骨貼り、杉材切り出し加工、持ち手磨きと、それぞれ資材調達から仕上げまで障がいのある若者の手仕事で行った。磨き込んで丸みのある持ち手、光を透かした美しさが際立つようリデザイン
【第4回「三井ゴールデン匠賞」 審査員による全体講評】
今回からグランプリに代わり5組の「三井ゴールデン匠賞」を最高賞とし、さらに「審査員特別賞」「奨励賞」が 新設されたことにより、審査もより白熱した第 4 回「三井ゴールデン匠賞」。 伝統的な工芸品とその取り組みだけでなく、持続可能な消費と生産を意識したユニークな素材開発、WEB を 多様に取り入れた展開例、福祉作業所と職人技を結びつけた「伝福連携」の好例など、これまでには少なかった 取り組みからのエントリーも目を引いた。 さまざまな経歴を持つ5名の審査員が独自の視点から審査、議論することで、質の良さは保ちつつ工芸の可能性 や幅を広げる多様性のある賞となった。